国内スタディツアー第1回 「農的暮らしって何だろう?」
国内スタディツアー第1回
「農的暮らしって何だろう?」
日 時:
2013年11月2日(土)〜3日(日)
訪 問 地:
山梨県白州、長野県富士見町、原村近辺
参加人数:
8名
お天気にも恵まれた11月2日から3日、長野県在住の会員さんのご紹介により、8名の参加者で「農的暮らし」を実践されている方々を訪ねる機会を持ちました。
食べ物もエネルギーもできるだけ自然をこわさないライフスタイルの実践に感動し、都市に暮らす私たちのこれからの暮らし方、生き方を振り返る旅でした。
一方、未来を担う若い世代が持続可能な暮らしを求めて都会から移住し、生活手段として農で暮らしていくのは容易ではないという現実についても考えさせられました。
そういった点で、都会に住む消費者の私たちが意義に共感し、繋がっていくということも私たちのできる農的暮らしの第1歩かもしれません。
韮崎にある「おちゃのじかん」は、地元の有機野菜や天然酵母パンにこだわった自然食カフェです。
まずは、こちらで野菜中心のおいしくてとてもヘルシーなランチをいただくことからこの旅は始まりました。
このカフェのマスターのSさんに、東京からこの地に移ってこられたわけを伺うと、カンボジアに住んだ経験もあって、
一極集中の大都市ではなく、地域の中で循環し完結する暮らしを楽しみたいとこの地を選ばれたそうです。
五風十雨農園
ロケットストーブ
こちらのご主人Mさんは、以前は自給自足的会社をめざす塗料会社の社長さん。会社は金儲けのためではなく、地球環境を守り、
社員を幸せにするためにあるという考え方をお持ちで、失敗やご苦労も含めてさまざまな取組みのお話しを伺いました。
この農園では、ソーラーパネルで売電し、煮炊きは「ロケットストーブ」やもみ殻を燃料とする「ぬかくど」を使い、
トイレには雨水を利用するなど、環境に配慮した生活の工夫であふれています。
さらに新月伐採の木材を利用したお宅、そして水車で動くマニ車と、どれもMさんの夢を形にしたものでした。
Wさん宅
コンポストトイレ
Wさんのご自宅は太陽熱を利用し(パッシブソーラー)、山梨の冬でも暖房いらずだそう。外にあるコンポストトイレはピートモス、燻炭、
米ぬか等を入れ菌が分解するしくみだそうで、においもほとんどないし最後はサラサラの土になるので畑にまくこともできるそうです。
また、天ぷら油の廃油を使った車をご自分で改造し、使用されています。「食べるものを作ることと食べることが一番の楽しみ」と、
1200坪の畑で野菜、大豆、小麦、ライ麦などを無農薬で生産されています。
この学校を運営しているKさんが実践している「自然農」と有機農業との違いはとても興味深いものでした。
「自然農」の特徴は、「耕さない」「植物や昆虫の多様性を歓迎する」「肥料や農薬は必要ない」というもの。
草や虫が多いとその土地は虫の死骸や枯れ草が積み重なり、それを微生物が時間をかけて分解することで、豊かな土に変わります。
この土の栄養分が次世代の命を育てるので肥料は必要ありません。
耕すという行為は過去の遺産を壊すことになるという考え方のようです。
ご夫妻は食糧の97%を自給されており、さらにこの自然農を通した持続可能な暮らし方を若い人たちに伝え、
支えたいと近隣の田んぼを借りて「八ヶ岳自給生活学校」を運営されています。
最後に訪問したのは、花苗を無農薬で育てるオーガニックフラワーを出荷されているという、"ataraxia"のMさんでした。
"ataraxia"とはギリシャ哲学からの言葉で「穏やか」という意味だそうです。
花は口に入るものではないので規制も厳しくなく、農薬使用が普通とのこと。Mさんはなるべく手をかけず、
その花の持てる力を引き出すという自然農を目指しておられます。
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