地球の木では、海外支援プログラムと共に、私たち自身が世界と自分たちの生活との関係を知り、持続可能な「豊かなくらし」を考えるための講座を開いています。
今回は、草郷孝好さんをお招きして講演会を開きました。
経済発展のひとつの指標であるGDPは上昇しているのに人々の幸福感、満足感はそれに比例して上がらず、
むしろ下がってしまうこともあるという「幸福のパラドックス」を世界、特に先進国の人々は感じ始めています。
まだ記憶に新しいことですが、一昨年ブータン国王夫妻が来日され、
「GNH(国民総幸福)」を国の政策基盤に掲げているブータンに人々の関心が集まりました。
国民の多くが幸せだと答えるブータンについて知り、「本当の幸せとは何か」を皆で考えました。
まず20代から80代までの約60名の参加者が、小グループに分かれ、自己紹介を兼ねて自分の良いところを見つけて話し、
また今までで一番幸せだったことについて話していくうちに、全く知らなかった人同士の垣根が少し低くなったようでした。
次に草郷さんから「人が幸せであるために大切なことは?」と題して、わずか九州ほどの国土に70万人が住む、
幸せの国ブータンの国づくりについて伺いました。
ブータンのGNH政策では、チベット仏教の考え方で、「人間と環境の相互依存関係を大切にし、
利他の思想を重んじる」ということが基盤にあるようです。
地方の言葉を尊重し、民主的に意見を出し合い物事を決定する国づくりを進める仕組みが不可欠だと考えているとのことです。
しかしブータンも例外ではなく、近代化が進行中です。経済成長も大事なことではあるが、格差を拡大するような成長、生態系を壊してまでする成長はGNHを高めることはないと考えています。
ブータンでの取り組みを応用して、東京都荒川区(GAH)や水俣市など日本でも、希望のあるまちづくりに生かされているそうです。
人が幸せだと感じるのは、物質的な豊かさだけで決まるのではなく、人とのつながりが感じられた時であり、家族の間でも、
また知らない人にも声をかけて、コミュニケーションを大事にしていくことにより、幸せ度もアップするのではないかと草郷さんは言います。
あちこちで気さくに参加者に声を掛ける草郷さんに、コミュニケーションとはこのようなものだと感じた方も多かったのではないでしょうか。
定員を超える参加申し込みがあり、お断りしたほど。関心の高さがうかがえました。